どんな世界を見ているの?赤ちゃんの視力の発達と気になる疑問

視力

生まれて間もない頃から生後1ヶ月頃までの赤ちゃんの視力は、抱っこしているママの顔がやっとぼんやり見えている状態です。色覚も未発達なので、白や灰色、黒といったモノクロの世界で物を識別しています。視野も狭く、距離感や立体感などもうまくつかめていない状態です。大人並みの視力が備わるまで、いったいどのくらいかかるのでしょうか?

今回は、赤ちゃんの視力の発達過程とテレビやDVDなどを視聴するときの注意点、赤ちゃんへの視力の影響などについてご紹介します。

赤ちゃんの視力の発達の目安

①新生児期(~生後1ヶ月頃)

視力は0.01~0.02ほどで、顔から20㎝くらい先にあるものがぼんやり見えている状態です。視力や脳はたくさん使うことで発達していくので、赤ちゃんがこちらを見てきたら、側で見つめ返したり、言葉をかけたりしてあげましょう。視力が発達してくると、顔の正面のものをじっと見つめる「凝視」ができるようになります。

ちなみに、この時期の赤ちゃんが稀に微笑を見せることがありますが、これは「生理的微笑」と呼ばれる物で、赤ちゃんの気分や感情とは関係なく、本能によって無意識のうちに起こる微笑みです。ママの顔を見て微笑んでくれるようになるのは、早くて生後2ヶ月頃からです。

②生後3ヶ月~6ヶ月頃

視力は0.1~0.2で、少しずつ物の色や輪郭が見えてきている段階です。色は最初に赤色を認識し、そのあと原色などはっきりした色を少しずつ認識するようになります。

生後4ヶ月を過ぎると、左右の目が連動して1つのものを追う「両目の協調性」が完成します。また、左右に動く物を目で追う「追視」が出来るようになります。

首がすわると、赤ちゃんの視界はちょっとずつ広がり始め、上下の追視も出来るようになります。特に好奇心旺盛な赤ちゃんは、いつもと違う視界を見たくて、横抱きよりも縦抱きを好む傾向があるようです。

乳幼児検診で「追視」出来るかどうかチェックされることもあるので、気になる方は、ガラガラなどのおもちゃを赤ちゃんの目の前で左右や上下にゆっくりと動かしてみて、ちゃんと目で追っているかを試してみましょう。

③1歳~2歳

満1歳での視力は0.3くらい、2歳頃で0.4まで発達すると言われています。視界は立っちが出来るようになると今までより視点が高くなり、大人と同じように周りを見渡したり、遠くまで見たりができるようになります。

④3歳~6歳

3歳になると約半数の子どもが、大人並みの視力(1.0くらいの視力)になります。4歳で7割、5歳で8割と、年齢が上がるにつれて割合が増えていき、6歳になるとほどんとの子どもが1.0以上の視力になります。

また、色覚や距離感、立体感なども小学校低学年くらいまでには大人と同様のレベルまで完成していきます。

赤ちゃんにテレビを見せても大丈夫?

テレビがついていると興味を示す赤ちゃんは多いですよね。ハイハイや伝い歩きが出来るようになった赤ちゃんは、テレビに近寄ってくっつくようにして見るので、視力に影響がないか心配なママも多いかと思います。赤ちゃんの視力はまだ成長段階でよく見えないので、どうしても至近距離で見たがるのですが、テレビを見ること自体で視力が悪くなるということはありません。

ただ、2004年に日本小児科学会が「乳幼児のテレビ・ビデオ(DVDなど)長時間視聴は危険です」という提言をしました。乳幼児の目安は2歳以下、長時間視聴の目安は2時間以上を示しています。直接赤ちゃんに見せるつもりがなくても、普段テレビがつけっぱなしになっているというご家庭は特に注意した方が良いですね。このような提言が行われたのは、同学会のこどもの生活環境改善委員会が実施した調査の結果、下記のようなことが明らかになったからです。

①長時間視聴は1歳6カ月時点の意味のある言葉(有意語)の出現の遅れと関係がある。

②特に日常やテレビ視聴時に親子の会話が少ない家庭の長時間視聴児で有意語出現が遅れる率が高い。

③このようなテレビの影響にほとんどの親が気づいていない。

もっとも、テレビを見る=発達が遅れるというわけではなく、本来は遊びながら色々学んで成長する時間や親とコミュニケーションを取って言葉を覚えるべき時間が失われてしまうことが問題になっています。
最近の研究では、バラエティ番組は人間の関係性を学ぶのによい影響があり、社交性のある子どもになるという説も出ています。必ずしもテレビを見ることはよくないわけではないので、赤ちゃんにテレビを見せるときは、次の点に注意すれば大丈夫です。

・1日に2時間未満というルールを守る
・テレビを見るときは、できるだけ親が抱っこして、一緒に話しかけながら見る
・DVDや録画したものを連続して繰り返し見せない(時間や回数を守る)
・食事時のテレビ視聴は避ける

さいごに

赤ちゃんの視力は、ママやパパが鍛えてあげることもできます。例えば、6ヶ月頃からは「いないいないばあ」遊びがおすすめです。赤ちゃんの目の前で顔を両手で隠し、「いないいないばあ」という声に合わせて、笑顔を見せてあげましょう。赤ちゃんにとってとても楽しい遊びであるうえに、目で見る力や脳の理解力をつけてくれますよ。

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