「赤ちゃんポスト」の存在を知っていますか?
日本で唯一、熊本市にだけ存在している新生児の受け入れ施設です。
運営する側も大変だし、いろんな問題も意見もでてくると思います。
今回は、賛成意見と反対意見も交えて赤ちゃんポストができた理由や込められた思いをみていきましょう。
【赤ちゃんポストとは?】
マンガ原作の「コウノトリ」がドラマになり、妊娠をテーマにした内容に関心を持つようになりました。
ブログやネットでも反響がありましたね。
ドラマの中でも、望まない妊娠をした中学生の女の子がでてきました。
現在、中学生で性交渉する人が増えています。
早くて小学生でしてしまうケースもあり、望まない妊娠を増やす可能性があります。
育てられないなら避妊をすべきですが、いろんな事情や理由があるので、全部を批判することもできません。
そういう時に相談できる施設が、唯一熊本市にだけあります。
その施設の名前が「赤ちゃんポスト」です。
*赤ちゃんポスト
ある事情や理由で育てられない新生児を、親の名前を知らせずに特別養子縁組ができる施設やシステムの通称です。
日本では唯一熊本市の慈恵病院のみ、赤ちゃんポストシステムを採用し、「こうのとりのゆりかご」の名称で運用しています。
以前は群馬県にもシステムを採用した施設があり、1986年から1992年の間運用されました。
こうのとりのゆりかごはドイツにある施設を参考に2007年5月に導入されました。
慈恵病院が運用している理由は、赤ちゃんを助けるために病院から市へと申請し、熊本市と厚生労働省が協議をした結果、申請が許可されたからです。
申請が許可されるときに、3つの事項を心に留めて忘れないよう提示されました。
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・子どもの安全性を確保する
・保護者が相談しやすい環境を作る
・公的相談機関と連携をとる
*赤ちゃんポストの仕組み
慈恵病院の一角に赤ちゃんポストが設置されています。
扉を開けると奥に保育器があり、赤ちゃんをのせると重さでセンサーが反応してブザーを鳴らします。
24時間体制でスタッフが待機しているので、急いで赤ちゃんの保護に向かいます。
赤ちゃんの安全を守るために、扉を閉めると自動ロックがかかり開けられません。
さらに、親のプライバシーを守るために、ポストの監視カメラは新生児のみが写るようになっています。
病院の外壁には相談できるように、ナースステーションに直接繋がるインターホンも設置されています。
妊娠に悩む前に相談してほしいと病院は呼び掛けいますが、相談なしに置かれた場合、親が名乗り出ないと24時間以内に警察と児童相談所に通報しなければなりません。
戸籍上「棄児」となるので、市長が名前を付けて2週間以内に戸籍を作ります。
警察で事件性がないことを確認できたら、児童相談所の判断で2~3歳まで幼児院に保護されます。
その後、児童養護施設や里親へと引き継がれていきます。
*赤ちゃんポストの問題
こうのとりのゆりかごは、生後1ヶ月の新生児受け入れを予定して運用開始しましたが、乳児や幼児が預けられるケースもありました。
こうのとりのゆりかごには、2010年3月末までに75人の子どもが預けられました。
3歳のこどもが預けられる事件もあり、防犯カメラに預けた親の顔が写らないため、捜索に時間がかかりました。
2006年の厚生労働省の発表で、生まれた赤ちゃんの約112万に対して、人工中絶件数は約29万件あったそうです。
捨てられる子どもは200人にものぼり、児童虐待で子どもを死なせる原因が「望まない妊娠」です。
子どもを守るために、命を守るために慈恵病院が申請して赤ちゃんポストの運用を始めたのに、いろんな問題や意見が起こります。
【赤ちゃんポストの賛成と反対意見】
2007年に赤ちゃんポストへの賛成・反対意見のアンケートが実施されました。
結果は、賛成は63%、反対は37%でした。
多かった反対の理由は以下です。
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・捨て子が増える可能性が高い
・無責任な性交渉や妊娠が増える
・子育て支援などを充実させた方がいい
・ほかの手段で支援すべき
・捨てられた子どもの将来が心配
賛成意見の人も、赤ちゃんポストを増やす意見には上記とおなじ理由で反対しました。
命を救える選択肢としてあるのは賛成だけど、増えてしまうと命を軽くみる人が増えることが心配です。
いまでもネットで賛成か反対かのアンケートが実施され、さまざまな意見が出されています。
【まとめ】
以上が赤ちゃんポストに込められた思いと賛成・反対意見の紹介でした。
読んでみていかがですか?
事情や理由があっても、子どもを産んだなら育てるのが義務かもしれません。
だけど、育てられずに殺される命やなくなる命があるのなら守りたいですよね。
病院側も、こうのとりのゆりかごを最終手段として救いの手を伸ばしています。
もし望まない妊娠をした場合、一人で抱えて悩まず病院や施設に相談しましょう。
わたしも、多くの赤ちゃんの命が救われることを願います。