生まれて間もない赤ちゃんの肌がなんだか黄色く見えるような?しかも肌だけではなく、うっすらと目を開けている赤ちゃんの白眼部分がもし黄みを帯びていたら、びっくりしてしまうママも多いですよね。
黄疸の原因は何なのでしょうか?自然に治るのか、それとも治療が必要なのか、それは黄疸の種類にもよります。今回は新生児黄疸の種類と原因についてまとめてみました。
新生児の9割に黄疸の症状が見られる?
生後間もない赤ちゃんの肌や白眼部分が黄色く見える現象は、新生児黄疸と言って、多くの新生児に見られる症状です。赤血球の中に含まれる成分として「ビリルビン」という色素がありますが、通常の場合は肝臓で処理された後、腎臓から排泄される仕組みになっています。
ところが生まれたばかりの赤ちゃんは身体の機能が未発達なため、肝臓の機能が完成しておらず、この「ビリルビン」を処理することが出来ずに、血液中に残されたままになってしまうのです。その結果、処理しきれなかった「ビリルビン」が血中に増えるため、肌が黄色っぽく変化していくのです。
肝臓の機能が成長とともに発達してくると、少しずつ黄疸は落ち着いてきます。では、いつ頃から新生児黄疸は落ち着いてくるのでしょうか。
赤ちゃんの成長具合には個人差がありますが、だいたい平均すると生後2週間前後と言われています。出産から退院するまでの間に、産院で黄疸の経過を診察されることもあります。退院後も黄疸自体は続くことがほとんどですが、入院中に特に指摘がなければそのまま様子を見ましょう。
母乳育児の場合は黄疸が長引くって本当?
黄疸の原因となる血液中の「ビリルビン」という色素は、肝臓で分解されるのですが、母乳には肝臓の酵素の働きを弱める女性ホルモンが多く含まれているため、数週間~1ヶ月以上黄疸が続くことがあります。これは「母乳性黄疸」と言われるもので、特に心配する必要はありません。
では母乳の成分はあまり良くないのではと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。通常では接種しにくい栄養素がたっぷり含まれていますし、授乳という行為自体も赤ちゃんとの大切なコミュニケーションなので、是非続けていきましょう。母乳が原因だからと勝手に授乳を止めてミルク育児に切り替えてしまうなど、個人での判断は禁物です。突然母乳を中止すると、ミルクアレルギーを発症してしまうなどのリスクを与えることになりますので、気をつけましょう。
基本的に黄疸があっても食欲があり、うんちの色が正常(心配な場合は母子手帳などに掲載されている色でチェックしてみましょう)で、機嫌も良ければ特に受診の必要はありません。もしもうんちの色が白っぽい場合はすぐに小児科を受診するようにしましょう。
母乳性黄疸が気になり、少しでも改善したい場合は、ご家庭で赤ちゃんを寝かせる場所を、窓越しの明るい場所に変えたり、ベランダ越しに外気浴をさせたりすることで、より早く黄疸が消えることがあります。夏場など紫外線が強い季節は、直射日光を浴びさせることは控え、カーテン越しに日光を当てるようにしてあげましょう。
心配な黄疸と治療方法
新生児黄疸の症状が1ヶ月過ぎてもなかなか治らない場合は、何らかの病気が原因であることも考えられます。ぱっと見た目には判断が難しいため、病院で「ビリルビン値」の検査をし、基準値におさまっているかどうか調べてもらいましょう。
たとえば「新生児肝炎症候群」という病気は、新生児の体の中に胆汁がたまってしまい、肝臓で「ビリルリン」を処理する能力が低下してしまうなどの肝障害を伴わせる病因の総称ですが、黄疸症状以外に白っぽいうんち、体重がなかなか増えない、などの症状があるようです。新生児肝炎を予防する方法はありませんが、早期に治療を開始することによって、1歳までに95%程度は完治すると言われています。医師の診断・指導に従って正しい治療を受ければ、過度に心配する必要はありません。
この病気に似た症状で、「胆道閉鎖症」という病気もあります。原因は今のところ解明されていませんが、生まれつき、あるいは生後間もない時期から胆管が閉塞し、放置すると、肝臓内の胆汁が行き場を失ってしまい、肝硬変や肝不全になってしまうという病気です。この病気の場合も症状として黄疸以外に、白っぽいうんち、胆汁の分解産物が流れるため、おしっこが濃い黄色になるのが特徴です。治療の主な選択肢としては、胆道閉鎖症手術か、肝移植術という外科手術になるといわれています。早期発見・早期治療が必要な病気ですので、黄疸が気になる場合は、日頃から赤ちゃんのうんちやおしっこの色に気をつけてあげてください。
さいごに
新生児の黄疸はほとんどが心配の無いものではありますが、稀に怖い病気が原因のこともあります。黄疸がなかなか消えない場合は、それ以外の症状がないかをチェックする必要があります。うんちやおしっこの色など、少しでも気になる症状があれば、早めに小児科を受診しましょう。